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お米を使ったとやまの伝承料理

お米のおいしい富山県では、
お米はいろんな料理にも使われています。
くず米を使ったり、麹として使ったり。
富山の伝承料理を
作り方とともに紹介します。

おせずし

 「押しずし」がなまって「おせずし」に。県東部の冠婚葬祭には欠かせず、魚津のたてもん祭りなど"ハレの日"の食としてもおなじみで、手みやげにも重宝されています。全国各地でいろいろな押しずしが作られ、ふんわりしたちらし風もありますが、新川地区の"おせずし"は、切り口を見ると米飯がみっちり詰まって密度の濃いことが特徴です。
 素焼きして身をほぐしたサバ(家庭によってはサケやアジ、ニギスなども)、好みに応じてくるみなどの木の実も、型に敷いたすし飯の層の間に挟み、一番上にのりをのせます。季節によっては、ミョウガを使うこともあります。名前の通り「ギューッ」と型に押しつけてから、押しぶたをして重石をし、ひと晩置くと出来上がり。
 県東部ではスーパーなどでも販売されています。一方、すし酢に工夫を凝らして伝承の味を守っている家庭も少なくありません。すし飯は炊いた米飯にすし酢を混ぜるのが一般的ですが、2杯酢を混ぜて炊く方法でお試しください。

つくり方

材料

[2~3人分]米…4と1/2カップ、水…4と1/4カップ、2杯酢…5/8カップ、焼魚(さば)…中1と1/4匹、くるみ…適量、板のり…適量

  • A(魚漬け込み用)酢…1/4カップ、砂糖…適量、塩…適量
  • B(すし飯用)砂糖…5/8カップ、塩…大さじ3/4

作り方

<下準備>
  • 洗った米に水、2杯酢を入れて炊く。
  • 焼魚をほぐしてAに漬けておく。
  1. 炊いた米飯にBを混ぜ合わせ、冷ます。
  2. 型の内側に酢を振り、底にすし飯をのせて平たくし、細かく切ったくるみと焼魚をのせ、すし飯、板のりを重ねる。
  3. すし飯、具、すし飯、板のりの順に重ねる。
  4. 押しぶたをして重しをし、4~5時間経過した後、型から外して切り分ける。

よごし

 あつあつごはんにぴったりのおかずと言えば「よごし」。大根の葉やナスなど、野菜をゆでて細かく切り、味噌で和えたごはんのお供です。味噌で野菜を「汚す」ことが料理名の由来ともいわれています。富山県内ではどの地域でもよごし料理がありますが、材料となる野菜にはその土地ならではのものもあります。
 南砺市井波地区では、特産品の「ほうきんの実」を使ったよごし料理があり、報恩講料理に欠かせない一品です。また南砺市城端地区では「いもじのよごし」がよく作られます。いもじとは赤ずいきの葉のことで、いもじをせん切りにして干したものをさっとゆで、砂糖を入れたごまみそで和えて作ります。
 あなたの地域のよごし料理はどのような野菜が使われていますか。

つくり方

材料

大根の葉…100g、味噌…大さじ1、ごま油…少々、刻みごま…適宜、みりん…少々、砂糖…大さじ1、唐辛子…少々

作り方

  1. 鍋に湯をわかし、大根の葉をゆでる。
  2. ゆであがったら、すぐに氷水にとり、アクを抜く。
  3. (2)をしっかり絞り、細かく刻む。
  4. フライパンにごま油を入れ、(3)を入れていため、味噌、砂糖、ごま、みりん、唐辛子で味をつける。

みょうが寿し

みょうが寿し

 富山市(旧大山町)で作られている「みょうが寿し」は、地元産コシヒカリの酢飯に、酢漬けのみょうがと鱒をのせた押し寿しのこと。特徴は、主役のみょうがには同地区小佐波で採れた「小佐波みょうが」のみが使われていることです。通常のみょうがとは違う鮮やかなピンク色、シャキシャキとした食感、歯応えの良さ、香りの良さなど、小佐波みょうがならではの美味しさを楽しめます。
 現在、富山の食ブランド、または郷土の特産品として人気を集めている「みょうが寿し」。もともとは同地区の各家庭で自家栽培した小佐波みょうがと熊野川に浮上してくる鱒を使って作られていました。母の味が各家庭で大切に受け継がれ、その歴史は100年以上にもなります。地元で長く愛されてきた味を、皆さんもぜひご家庭でお試しください。

つくり方

材料

[4人分]米…4合、鱒…3切れ、生みょうが…7〜8個、塩…少々、青しそ…10枚、白ごま…少々

  • A(鱒漬け込み用)酢…50cc、砂糖…大さじ4、塩…少々
  • B(だし汁)水…4カップ、だし昆布…1枚、煮干し…5個
  • C(酢飯用)酢…50cc、砂糖…大さじ4、塩…少々

作り方

ご家庭では簡単なちらし寿司風のアレンジでお楽しみください。

<下準備>
  • 鱒はAに2時間ほど漬け、ほぐしておく。
  • 生みょうがは、みじん切りにして塩でもむ。
  • 青しそは、千切りにして水に浸す。
  1. Bでだし汁を作る。
  2. 炊飯ジャーに1を入れ、ご飯を硬めに炊く。
  3. ご飯に鱒、みょうが、青しそを入れて混ぜ合わせ、Cで味をととのえる。

きびおこわ

きびおこわ

 黒部市・宇奈月地区で古くから作られている雑穀・いなきびを炊き上げて、黒豆を混ぜ合わせたおこわ。この地区で長く食されている伝統料理です。いなきびは、黒部川から吹く"あらせ"という冷たい風と良質な名水によって栽培されるため、ミネラルを豊富に含むうえ、色鮮やかな黄色になるのが特徴。黒豆の黒とのコントラストが美しく、食欲をそそります。一口頬張れば、素朴で懐かしい味わい。心和む美味しさです。
 また、宇奈月地区では、いなきびのことを「むこだまかし」とも呼ばれています。その由来は、"いなきびを使って作られた餅を食べた男性が、美味しさにつられてお嫁さんの里に婿入りした"という言い伝えにあります。ブラックユーモアが光るネーミングですね。皆さんも、騙されたと思って作ってみませんか。

つくり方

材料

[4人分]もち米…960g、いなきび…240g、黒豆…120g、砂糖…10g、しょうゆ…大さじ1、(シト用)水…1.2カップ、塩…少々

作り方

<下準備>
  • もち米といなきびを一緒に入れてよくとぎ、水に一晩浸す。
  • 黒豆は、砂糖、しょうゆで味付けし、やわらかく煮て一晩おく。
  1. もち米といなきびを蒸し器で1時間ほど蒸す。途中でシトを打つ。
  2. 1に黒豆を加えて、よく混ぜ合わせる。

ますのすし

 富山のお土産として全国的に有名な「ますのすし」。その歴史は享保年間に遡ります。富山藩三代藩主・前田利興の家臣・吉村新八が、神通川の鱒を用いて押し寿司を作り、将軍・徳川吉宗に献上したところ、絶賛を受けたことが、ますのすしの始まり。以来、富山藩主は、この押し寿司を将軍家への献上品としました。こうした背景から、ますのすしは富山で長く受け継がれてきたのです。
 ますのすしは地元の人の食文化に根付いているところが特徴。また、お店によって味の個性が大きく異なることから、個々に贔屓の店を持っています。ますのすし街道を歩きながら、色々なお店の味を食べ比べてみるのもおすすめですが、自宅で作るのも思いのほか簡単。ぜひ、お試しください。

つくり方

材料

[2人分]生マス(カラフトマス)…背部200g、塩…少々、すし酢…適量、大葉…10枚ほど、白ごま…適宜、炊きたてご飯…2合

作り方

  1. 炊きたてご飯にすし酢をふりかけ、すし飯を作る。
  2. 生マスを3枚におろし、背部の皮をはぎ、5mm位の厚さにスライスして、軽く塩を振り、15分おく。
  3. ペーパータオルで2の水分をとり、すし酢の中に20分漬け込む。
  4. 型にラップを大きめに敷いて、底に3を敷き詰め、大葉を重ねる。
  5. すし飯の半量を型に詰め、その上から白ごまを散らす。
  6. 残りのすし飯を重ねて詰める。
  7. 型からはみ出しているラップを丁寧に重ね合わせ、しっかり押さえる。

いもがいもち

 南砺市井波地区は、里芋の産地。柔らかく粘りがあり、独特の甘みがあるのが特徴で、地元はもちろん全国各地へ出荷されています。それゆえ里芋を使った料理が数多くありますが、なかでも親しまれているのが、いもがいもちといわれる里芋のおはぎ。昔、米が貴重だった時代には、小さい里芋とくず粉を一緒に潰して作られていました。先人の"もったいない"という心と知恵が込められた郷土料理といえます。そして、ある時から窯の中で里芋とご飯を一緒に潰して作られるようになりました。この変わった名前の由来は、その作り方からきています。窯の中で作る餅のことを「かい餅」といい、それに芋がプラスされていることから「いもがいもち」といわれるようになったそうです。いもがいもちは、里芋の粘りが効いた、ねっとりとした食感が魅力。小豆あんやきな粉など、色々な味を楽しめるのもいいですね。

つくり方

材料

[4人分]うるち米…100g、もち米…50g、里芋…90g、(小豆あん)小豆…180g、砂糖…カップ2、塩…小さじ1/2、(きな粉)きな粉…大さじ2、砂糖…大さじ1、塩…小さじ1/3

作り方

  1. 里芋は皮をむき、乱切りにする。
  2. 炊飯器に洗ったうるち米ともち米を加え、その上に里芋を並べ、炊く。(水加減はご飯を炊く時と同量)
  3. 炊きあがったら、塩少々振り、米と里芋を程よくつぶして丸める。
  4. 3に小豆あんやきな粉をつける。それぞれの甘みは好みで加減を。
[小豆あんの作り方]

水と小豆を火にかけて沸騰したら、湯を捨て渋切りする。再び水を加え、小豆が軟らかくなったら余計な汁を捨て、砂糖、塩を入れて練り、固めながら味を馴染ませる。

出典/とやまの郷土料理(富山県食生活改善推進連絡協議会・滑川市食改協)

初午だんご

 初午の日(旧暦2月の最初の午の日)に、蚕の神様を祀る祭りを「初午」といいます。かつて養蚕は農家の重要な収入源だったため、五箇山や富山市大沢野、立山町芦峅寺などでは養蚕の繁盛を祈るために初午が行われていました。そして、この日は、繭の形をした団子を作って仏壇や神棚にお供えする風習がありました。
 その団子のことを「初午だんご」といいます。もち粉やそば粉、小麦粉などにお湯を注ぎ、耳たぶほどの固さになるまでこね、繭の形にしてから茹でる、あるいは蒸せば出来上がり。その団子はお供えするほか、きな粉などをつけて食べます。五箇山では今もその風習が受け継がれており、作った当日は温め直さずに食べるのが習わしとなっています。

つくり方

材料

[4人分]もち粉…2カップ、そば粉…2カップ、小麦粉…少々、A(調味料) きな粉…適宜、砂糖…適宜、塩…適宜

作り方

  1. ボールにもち粉を入れて、お湯を少しずつそそぎ入れ、耳たぶほどの硬さにこねる。
    それを小さくちぎって、繭(まゆ)の形にする。
  2. そば粉と小麦粉を混ぜ合わせ、(1)と同様に繭の形にする。
  3. 大きめの鍋にたっぷりのお湯で(1)と(2)を茹で、浮いてきたらざるに上げる。
  4. Aを好みの甘さに混ぜ合わせ、(3)につけて食べる。

かぶら寿し

 主に県西部で受け継がれる郷土料理。冬の富山湾は昔からブリ漁が盛んでしたが、冷蔵庫がなかった頃は、ブリを塩漬けにして保存されていました。さらに、そのブリを塩漬けしたカブラに挟み込んで発酵させることで、ブリの美味しさを長く楽しめるよう工夫が凝らされていました。先人の知恵が息づく「かぶら寿し」は、雪に閉ざされた冬の保存食だったのです。
 そもそもは、江戸時代の加賀藩政時代に誕生したといわれる「かぶら寿し」。その起源には色々な諸説がありますが、いずれもお正月に食べることが目的とされていたようです。そして、数百年の歳月を経た今も、お正月のおせちの一品として親しまれています。「かぶら寿し」は、時代が変わっても多くの人に愛される味といえるでしょう。

つくり方

材料

塩ブリ(塩サバ)3切れ(200g)、かぶ 大5個、塩 大さじ3(かぶの3%)、昆布 1枚、麹 半枚、温かいご飯 茶碗1杯、焼酎 少々、昆布 10cm、人参 100g

作り方

  1. かぶは上下四方切り。厚さ2cmの輪切りにし、中央に深い切り目を入れる。
  2. (1)に塩をふって容器にきっちり並べ、軽い重しをして一昼夜漬けておく。
  3. 翌日、平たいざるに並べて水気を切る。
  4. ブリは3枚におろし、皮目を下にして厚さ5mmぐらいのそぎ切りにする(この時皮をつけて切らないようにし、1枚ずつそぎ身にする)。
  5. 麹をもみほぐし、温かいご飯を混ぜ、焼酎をふりかけながらよく混ぜる。
  6. かぶの間にブリをはさむ。

Point

  • 容器に昆布を敷き、かぶをきちんと並べ、せん切り昆布、人参をちらし、麹を入れ、段々に重ねてゆく。
  • 段ごとに笹の葉を敷いて漬け込むとよい。
  • 全部つけ終わったら落しぶたをして軽い重しをのせ、密閉して10日から2週間くらいおく。

よもぎののしだご

 砺波・射水平野に伝わる郷土料理。かつては米の収量が少ないうえに、米を年貢として納めたり現金化したりしていたため、飯米にさえ事欠く農家が多かったそうです。そこで、飯米を節約するために、普段のご飯の屑米を粉にして作られたのが、「よもぎののしだご」です。まずい屑米を少しでもおいしく食べるために、もち米を少し入れたり、蓬を入れて香りをつけたりと、さまざまな工夫が凝らされました。食べ方も、焼いてきな粉や砂糖をつけておやつ代わりにして食べたり、朝ご飯を炊くときにご飯の上にのせて蒸してご飯と一緒に食べたりと、さまざまな知恵が生かされました。粘りが少なく胃にもたれない軽い食感や、屑米の粉と蓬の素朴な風味は、お年寄りには懐かしく、若者には新鮮な味覚といえるでしょう。
※写真:ご飯の上にのっているのが、よもぎののしだご

つくり方

材料

[4人分]もち米 5合、いるご(屑米の粉) 5合、蓬(さっと茹でて細かく刻んだもの) 一握り、とり粉 少々、塩 少々
[必要な容器]
こね鉢、せいろ、餅つき機、ボール、伸ばし用器、綿棒、ラップ、軍手など

作り方

  1. もち米を一晩水につけておく。
  2. せいろに蒸し器用布を敷き、水切りしたもち米を平らに入れる。
  3. こね鉢にいるごを入れ、湯を少しずつ入れながら、だんごになる程度までこねる。
  4. (3)を(2)のせいろの上で細かくちぎって入れ、約40分蒸す。
  5. (4)が蒸し終わったら、餅つき機の中へ入れ、蓬と塩も入れて一緒につく。
  6. 伸ばし用器にラップを敷き、とり粉をひいた上に(5)を入れ、綿棒で厚さ1.5cmほどに伸ばす。
  7. 少し固くなり出したら、包丁にとり粉をつけながら5~6cm角に切る。

みそかんぱ

 朝日町の山崎地区に伝わる田舎料理。炭焼きをする男性たちが、山ごもりの間の食事として、米を炊いて丸く握ったものを、切った木の枝に付け、味噌を塗って食べたのが始まりといわれています。炭焼きは天候によって左右されるものなので、ご飯を板に付けた時の付き具合によって、天候を占ったともいわれています。また、簡単に作れて美味しいことから、祭りや法事などの行事の時にもよく作られたそうです。今もなお祖母から孫へと伝承されている「みそかんぱ」は、朝日町の直売所で手に入れることができます。もともとは味噌の味付けだけでしたが、最近ではゴマやピーナッツ、くるみなどの味付けも登場しているので、気になる方はぜひご賞味を。

つくり方

材料

[4人分]米 5カップ、水 5と1/2カップ、黒ゴマ 40g、ピーナッツ粉 10g
<A>みりん 大さじ1、しょうゆ 大さじ1、砂糖 50g、味噌 70g

作り方

  1. 米は炊く1時間前に洗って、ざるにあげておく。
  2. (1)を水で炊き、20分間ほど蒸す。
  3. (2)をすりこぎでよくつぶし、熱いうちに小判形に形づくり、割り箸に刺す。
  4. よく熱した焼き器で、(3)の両面をこんがりと焼く。
  5. よくすった黒ゴマに、ピーナッツ粉を入れて、さらにする。Aの調味料を入れて、粘りが出るまで練りあげる。
  6. 食べる直前に(4)に(5)をつける。

ちまき

 笹の香りがする、甘いだんご。この「ちまき」にまつわる伝説が、宇奈月町下立で語り継がれています。それは、黒部川に住む大蛇に嫁いだ茶屋の娘・お光が、出産のために実家に戻ってきたものの、蛇の子を産んだところを両親に見られたため、両親にちまきの作り方を教えてから、黒部川に姿を消したという悲しい物語。6月21日には、その物語を再現した「大蛇お光行列」が地区内を練り歩き、地元の小学生が愛本ちまき音頭を披露するという「愛本姫社まつり」が開催されます。また、お光が伝えたとされるちまきの販売も行われます。これは、地元の主婦たちがつくったもの。伝統的な味と形が守られています。

つくり方

材料

[10本分]米の粉 1カップ、笹の葉 40枚(ちまき1本につき4枚)、熱湯 1/2カップ、スゲグサ 10本

作り方

  1. 米の粉に熱湯を加えて混ぜ合わせ、よくこねる。
  2. 長さ3cm、幅1cmのしゃもじ型のだんご10個をつくる。
  3. 笹の葉3枚を並べて、根元から2~3cm残してだんごをのせ、2回まわしてから、蓋をするように笹の葉1枚を添えて包む。葉先の方からスゲグサを巻く。
  4. 5本ずつ重ねて束ね、沸騰した湯の中で15~20分間煮る。
  5. 水気を切って、出来上がり。